TODAY IN MUSICAL MARGINS
モーツァルトが、
《魔笛》の初演を
指揮した日。

1791年9月30日、ウィーン郊外の劇場で《魔笛》が初演されました。作曲者モーツァルトがオーケストラを指揮し、劇場を率いたシカネーダーはパパゲーノを演じます。後日、この二人の間で鐘をめぐるいたずらが起こります。
10月8日の公演後、モーツァルトは妻への手紙に、パパゲーノの歌に合わせる鐘を自分で鳴らしたくなり、舞台袖へ行ったと書いています。シカネーダーが歌の途中で間を取ると、モーツァルトは分散和音を鳴らしました。相手は驚いて舞台袖を見た、といいます。
同じ箇所の二度目は、あえて鳴らさない。シカネーダーが歌を止めると、ようやく和音を一つ鳴らしました。役者は手元の鐘をたたいて「黙れ」と言い、客席は笑った、と手紙は続きます。これで観客も、パパゲーノ自身が鐘を鳴らしていないと気づいただろう。そう考えたのはモーツァルト本人です。
初演の日のいたずらではありません。9月30日は初上演、鐘の話は8日後。大作を世に出した作曲家が、舞台仲間をちょっと困らせてもいた。その距離の近さが手紙から伝わります。
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ウィーン市立図書館の初演ポスターには「1791年9月30日」とあり、モーツァルトがその日の指揮を務める旨も記されています。
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出典・参考
- ウィーン市立図書館:1791年9月30日《魔笛》初演の劇場ポスター — 一次資料。初演日と、モーツァルトが当日オーケストラを指揮する旨を確認。図書館のデジタル目録。資料確認日:2026年9月29日。
- Digitale Mozart-Edition:モーツァルトからコンスタンツェへの手紙、第1195番(英訳) — 同時代の本人の手紙の翻刻・英訳。書簡の日付はウィーン、1791年10月8–9日。鐘のいたずら、客席の反応、黄色い冬用の脚絆の記述を確認。自筆原稿そのものではなく、翻刻・翻訳を参照。資料確認日:2026年9月29日。
- ザルツブルク・モーツァルテウム財団:ヴォルフガング・アマデ・モーツァルト — 公式機関の伝記。初演日、劇場、モーツァルトが鍵盤から最初の公演を指揮したこと、シカネーダーがパパゲーノを演じたことを確認。資料確認日:2026年9月29日。
- Österreichische Mediathek:Die Zauberflöte (1791) — オーストリア・メディアテークの解説。初演日、ウィーン郊外の劇場、シカネーダーが初代パパゲーノを演じたことを確認。資料確認日:2026年9月29日。
- Dexter Edge/David Black編:初演に関する1791年10月1日付報告 — 同時代の新聞報告の翻刻・英訳と研究者の注釈。報告は10月7日付の新聞に掲載され、記者が初演を直接見たかは確認できないと注釈されています。資料確認日:2026年9月29日。
史実の説明と、手紙に記されたモーツァルト本人の回想を分けて紹介しました。観客が鐘の仕掛けに気づいただろうという見立ても、手紙にある本人の推測です。手紙の当日付は1791年10月8–9日で、初演日の9月30日とは別の日です。日付は当時のウィーンで用いられたグレゴリオ暦です。資料確認日:2026年9月29日。
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