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TODAY IN MUSICAL MARGINS

SEP.3

ベートーヴェンが、
昨日なにを書いたか
覚えていなかった日。

読了 約2分
1825年のバーデンで、机の紙を見つめるベートーヴェンと、羽根ペンやシャンパンの瓶を描いた歴史挿絵
1825年9月3日付の書簡と、前日の会話帳スケッチをもとにしたイメージ。史実写真ではありません。

シャンパンは、創作の助けどころか邪魔だった。1825年9月3日、ベートーヴェンはバーデンからフリードリヒ・クーラウへ手紙を送り、前夜に何を書いたのか「まったく覚えていない」と打ち明けました。

前日の2日、クーラウはトビアス・ハスリンガーらとベートーヴェンを訪問。席ではB-A-C-Hの四音を使うカノンが話題になり、ベートーヴェンも会話帳へ三声のスケッチを書きつけます。ドイツ音名ではB-A-C-Hが変ロ音・イ音・ハ音・ロ音となり、バッハの名を音にできる仕掛けです。

翌3日、ベートーヴェンは整えたカノンを手紙に添えました。歌詞は《Kühl, nicht lau》。ドイツ語で「冷たい、ぬるくない」を意味し、クーラウの姓に掛けた駄洒落です。彼は、相手の名前を三つの声部で何度も転がす小品にして返しました。

同じ手紙には、シャンパンがひどく頭に回り、こうした酒は創作力を促すより抑える、と反省する言葉もあります。笑い話の舞台は2日、日付の主役は3日。二つを混ぜずに見ると、集まりの翌日、前夜の一筆を覚えていない彼がカノンを整えて送った流れが浮かびます。

BEETHOVEN-HAUS RESOURCE

9月3日付の手紙を、確かめる。

ベートーヴェン・ハウス所蔵の全文写しで、日付、シャンパンへの言及、添えられたカノンを確認できます。自筆原本ではない点も資料説明に明記されています。

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出典・参考

  1. Beethoven-Haus Bonn, Letter to Friedrich Kuhlau with canon WoO 191 (NE 247 b)
  2. Beethoven-Haus Bonn, “Kühl, nicht lau”, three-voice canon WoO 191
  3. Staatsbibliothek zu Berlin, Beethoven conversation notebooks
  4. Beethoven Music Research Center, WoO 191 “Kühl nicht Lau”
  5. Library of Congress, Games Composers Play
  6. オーストリア国立公文書館、グレゴリオ暦導入記録

本記事は、ベートーヴェン・ハウスのNE 247 bと作品資料、ベルリンの会話帳情報、Beethoven Music Research Center、米国議会図書館、オーストリア国立公文書館の資料をもとに、日本語で要約しています。9月2日のスケッチと9月3日付書簡は別資料で、書簡は自筆原本ではなくハスリンガーによる全文写しです。

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