TODAY IN MUSICAL MARGINS
ベートーヴェンが、
祝いのミサで依頼主を
困惑させた日。

祝いの音楽を頼まれたのに、出来上がった曲が依頼主のお気に召さない。ベートーヴェンにも、そんな仕事がありました。
1807年9月13日、アイゼンシュタットで《ミサ曲ハ長調》が初演されました。注文したのはエステルハージ侯爵。夫人の聖名祝日を祝うための音楽です。この家では以前、ハイドンが同じ機会にミサを書いていました。後を引き受ける側には、なかなか手ごわい前任者です。
ベートーヴェンも気にしていました。初演前の手紙では、侯爵が偉大なハイドンの傑作に慣れているので、曲を渡すのが恐ろしい、と打ち明けています。曲を仕上げる前から、比較される相手が大きすぎます。
そして当日、心配は現実になりました。侯爵は作品を気に入らず、別の相手に宛てた手紙では、ひどい音楽だとして怒りと恥ずかしさをあらわにしています。お祝いの曲が、注文主の機嫌を損ねてしまいました。
それでもベートーヴェンは、このミサを大切に思っていると出版社へ伝えました。依頼主の不評と、作曲家の愛着。最後まで同じ調子にはそろいません。
BEETHOVEN-HAUS RESOURCE
依頼主とのすれ違いを、確かめる。
初演日、依頼の事情、侯爵の反応を公式の作品解説で読めます。
資料を確かめる
- ベートーヴェン・ハウス公式作品解説 — 1807年9月13日の初演、依頼の背景、ハイドンの前例、侯爵の不満を確認できます。
- Hyperion Records:作品解説 — 初演後の失望と、1812年の献呈先の変更を照合できます。
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出典・参考
- ベートーヴェン・ハウス:Mass in C major, op. 86 — 公式作品解説。1807年9月13日の初演、エステルハージ家の依頼、ハイドンの前例、侯爵の反応を確認。公開日不明。
- Hyperion Records:Beethoven Mass in C — Nicholas MarstonによるCD解説。初演後の失望と、1812年にキンスキー侯爵へ献呈された経緯を確認。公開日不明。
- Beethoven-Haus:自筆資料の解説 — 《ミサ曲ハ長調》を特に大切に思うというベートーヴェンの手紙の紹介を確認。公開日不明。
- 教区リンツ:Messe in C op. 86 — 1807年の手紙、侯爵の書面による批判、1812年の献呈変更を照合。二次解説、公開日不明。
資料確認日:2026年9月12日。歴史上の日付はグレゴリオ暦で示しています。手紙の文言は紹介資料の日本語要約で、自筆資料を直接確認したものではありません。侯爵が面前で叱責した、誰かが笑った、すぐ退席したという細部は、今回の本文では採用していません。「なかなか手ごわい」「相手が大きすぎます」「同じ調子にはそろいません」は編集上の表現です。