TODAY IN MUSICAL MARGINS
ベートーヴェンが、
新作の値段を
手紙に書いた日。

1816年10月1日、ベートーヴェンはロンドンの出版業者バーチャルに、作品の値段を記した手紙を書きました。音楽の話に交じって、代金や発送の相談も並んでいます。
まずは、出版社から持ちかけられた歌の旋律による変奏曲。引き受けることに異存はなく、代金は30ポンドを希望します。伴奏はフルート、ヴァイオリン、チェロのどれにするか。相手が選んでも、自分に任せてもよいそうです。作曲の前から、ずいぶん具体的な相談が進んでいました。
そのうえ、新しいピアノ・ソナタは40ポンド、ピアノ三重奏曲は50ポンドでどうか、と持ちかけます。作曲の注文がたくさんあるので、返事は早くほしいとも。新作の紹介に、それぞれ希望の値段を添えた売り込みでした。
ところが、11月8日付の出版社側の返信草稿では、変奏曲の30ポンドは高すぎるという返事。すでに代金を払った別の作品の権利書類を、早く送ってほしいとも催促されています。名曲を世に出す仕事には、こうした書類のやり取りも付いてきたのです。
公式アーカイブ|書簡草稿
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出版社の返事――30ポンドは高すぎる
1816年11月8日、バーチャル側からの返信草稿。10月1日付の手紙への返答と、権利書類の催促を確認できます。
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出典・参考
- Beethoven’s Letters (1790–1826), Vol. I:第191書簡 — Beethoven, Ludwig/Ludwig Nohl編・Lady Wallace訳。1816年10月1日付書簡の英文を収録した旧刊行本文。変奏曲30ポンド、ソナタ40ポンド、三重奏曲50ポンドの提示額と、写譜・梱包費についての六ペンスの約束を確認。
- Beethoven-Haus Bonn:Christopher Lonsdale, London, 8 Nov 1816, NE 151 — 所蔵機関の公式解説と書簡草稿。10月1日付の手紙への返信、変奏曲の価格への反応、権利書類の催促を確認。
- Hee Seung Lee, “The ‘Beethoven Folksong Project’ in the Reception of Beethoven and His Music” — University of North Texas博士論文、2006年12月、本文35頁注59–60。10月1日付の価格提示と11月8日付の返事を扱う補助研究。
資料確認日:2026年9月30日。第191書簡は旧刊行書簡集の英文本文、返信は所蔵機関による公式解説を参照し、日本語で要約しました。二つは別々の書簡です。博士論文はこの往復書簡を扱う補助研究であり、独立した追加の一次資料ではありません。自筆原本や実際の請求書は直接確認していません。提示額は交渉中の提案で、合意額を示すものではありません。六ペンスの記述は過大請求をしないという約束で、実際の請求額や支払額を確認したものではありません。歴史上の日付はグレゴリオ暦で示しています。
掲載対象日: