TODAY IN MUSICAL MARGINS
ワーグナーが、
自作の《ローエングリン》初演に
立ち会えなかった日。

自作の新作オペラが初演される夜、作曲者は客席にも舞台袖にもいませんでした。
1850年8月28日、リヒャルト・ワーグナーの《ローエングリン》が、ヴァイマル宮廷劇場で初演されました。指揮は友人フランツ・リスト。ところが、作曲者ワーグナーはその場にいません。前年のドレスデン蜂起への関与で指名手配され、スイスへ亡命していたため、ドイツへ戻れなかったのです。
ワーグナーは遠くからリストに上演を託し、演奏や舞台への指示を手紙で送りました。初演の夜、ワーグナーは妻ミンナとルツェルンの「白鳥亭」に滞在。時計を見ながら、ヴァイマルでは今ごろ幕が開いた、物語が進んだ、終演したはずだと、舞台の進行を想像して過ごしたと自伝に記しています。
本人が思い描いた舞台と、実際の初演には距離がありました。当時の批評は、リストらが限られた陣容でできる限りを尽くしたと評価する一方、第1ヴァイオリンは6人、合唱も小さく、タイトル役の歌手も作品の要求に十分応えられなかったと指摘しています。新作は本人不在のまま、友人と小さな劇場の手で世に出ました。
PREMIERE ARCHIVE
作曲者不在の初演記録を、見てみる。
ヴァイマルの歴史的公演資料で、1850年8月28日の初演日、出演者、当時の批評を確認できます。
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出典・参考
- Theaterzettel Weimar, Lohengrin, 28 August 1850
- The Morgan Library & Museum, Lohengrin first printed libretto
- Richard Wagner, My Life
- Bayerischer Rundfunk, Lohengrin初演解説
本記事は、1850年8月28日のヴァイマル公演資料、初版台本、ワーグナーの自伝をもとに、日本語で要約しています。ワーグナーはドレスデン蜂起後の亡命中で、初演には立ち会っていません。