TODAY IN MUSICAL MARGINS
チャイコフスキーが、
自作の《ハムレット》を
「使わないで」と勧めた日。

自分の名前を売り込むどころか、自作を「使わないほうがよい」と本人が止めました。
1893年8月23日、53歳のピョートル・チャイコフスキーは、ワルシャワの音楽家ミハウ・ヘルツへ手紙を書きました。これは当時ロシアで使われた暦の日付で、現在のグレゴリオ暦では9月4日に当たります。ヘルツは、ワルシャワ劇場の《ハムレット》上演で、1891年に書かれた付随音楽を使うため、どの場面や台詞で各曲を入れるのか尋ねていました。
返事は意外に消極的でした。チャイコフスキーは自作を「本格的な芸術作品ではない」と評し、友人の俳優リュシアン・ギトリのために急いで書き、番付に自分の名前を載せて喜ばせるための曲だったと説明。小編成用で大きな帝室劇場には合わないため、自分の「いわゆる《ハムレット》音楽」は演奏しないよう勧めました。
代わりに推薦したのは、ジョージ・ヘンシェルの《ハムレット》。さらに、どの場面・言葉で音楽を入れるのか、自分でも完全に忘れたので助けられないと謝っています。自作を売り込むどころか、他人の曲を勧め、使い方まで忘れたと告白。世界的作曲家の返事は、宣伝文句とは正反対でした。
ORIGINAL LETTER
自作を使わないよう勧めた手紙を、読んでみる。
Tchaikovsky Researchで、1893年8月23日付書簡のドイツ語原文と英訳を確認できます。
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出典・参考
- Tchaikovsky Research, Letter 5020
- Tchaikovsky Research, Hamlet (incidental music)
- Tchaikovsky Research, Michał Hertz
本記事では、書簡記載のロシア暦8月23日を採用しています。現在のグレゴリオ暦では9月4日です。見出しの「使わないで」は、自作を演奏しないよう勧めた内容を日本語で要約した表現です。