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チャイコフスキーの
「大砲」が、実は
大太鼓だった日。

《1812年》といえば、終盤の大砲。ところが、その「大砲」は本物の砲ではなく、大太鼓を指していました。
1882年8月20日、チャイコフスキーの《1812年》序曲が、モスクワの全ロシア美術・産業博覧会で公式初演されました。演奏会は博覧会会場で開かれた第6回交響楽演奏会で、指揮を務めたのはイッポリト・アルターニです。当時のロシア暦では8月8日にあたります。
この曲の楽譜には、終盤の効果音として「大砲」が登場します。しかしチャイコフスキーが出版社へ説明したのは、本物の大砲ではありませんでした。彼が想定していたのは、グラン・カッサのように叩く、大きな吊り下げ太鼓。戦争の勝利を描く壮大な音楽に、実際の砲撃ではなく、楽器による大音響を組み込んだのです。
しかも後年、チャイコフスキー自身はこの作品を「非常に平凡な作品」で、ロシアでの演奏にしか向かないと考えていたと回想しています。本人の自己評価とは裏腹に、《1812年》は、今では「大砲の曲」として世界中で知られる代表作になりました。初演の日は、名曲が後世のイメージを獲得する前の、少し意外な出発点です。
ORIGINAL SCORE
「大砲」の正体を、楽譜で確かめる。
Tchaikovsky Researchで、《1812年》の初演日、編成、「大砲」に関する本人の説明を確認できます。
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出典・参考
- Tchaikovsky Research, The Year 1812
- Tchaikovsky Research, Chronology
- Tchaikovsky Research, Autobiographical Account
本記事では、1882年8月20日の公式初演を基準にしています。「大砲」は楽譜や後世の通称に基づく表現で、チャイコフスキー本人は本物の大砲ではなく、大きな吊り下げ太鼓を想定していました。