TODAY IN MUSICAL MARGINS
ストラディヴァリが、
修理の遅れを詫びた日。

名器の巨匠も、この日は新作ではなく、修理の納期について頭を下げていました。
1708年8月12日、アントニオ・ストラディヴァリはクレモナから、ヴァイオリンの修理を依頼した人物へ一通の手紙を書きました。冒頭で伝えたのは、返却が遅れたことへのお詫びです。現存する自筆書簡によれば、大きなひび割れにニスを施し、それが乾くのを待って、日差しで再び割れが開かないよう仕上げるのに時間がかかったようです。
仕事は無事に終わり、ストラディヴァリは、楽器をよく修理してケースに戻したと知らせました。さらに、自分にできることがそれ以上なかったのを残念に思う、と丁寧に添えています。後世には「ストラディヴァリウス」の名で伝説になった人物ですが、この日の文面は、修理品を待たせた職人による誠実な納品連絡そのものでした。
この手紙の宛先と、修理されたヴァイオリンがどの個体だったのかは、所蔵資料からは分かりません。楽器の行方は謎でも、返却の遅れを詫びる職人の声は、300年以上たった今も残っています。
ORIGINAL LETTER
ストラディヴァリ本人の手紙を、見てみる。
クレモナのヴァイオリン博物館が公開する、1708年8月12日付の自筆書簡を拡大して閲覧できます。
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出典・参考
- Catalogo generale dei Beni Culturali, “manoscritto di Stradivari, Antonio”
- Museo del Violino / Google Arts & Culture, “Autograph letter of Stradivari”
本記事は、クレモナのヴァイオリン博物館が所蔵・公開する自筆書簡の目録情報と英訳をもとに、出来事を日本語で要約しています。書簡の宛先と修理された楽器の個体は確認できていません。